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東京地方裁判所 昭和61年(ワ)16106号 判決 1989年9月27日

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は、原告らの負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、原告らに対し、別紙物件目録(一)記載の土地について別紙登記目録(一)記載の登記の、別紙物件目録(二)記載の土地及び同(三)記載の建物について別紙登記目録(二)記載の登記の、別紙物件目録(四)及び(五)記載の各建物について別紙登記目録(三)記載の登記の、別紙物件目録(六)記載の建物について別紙登記目録(四)記載の登記の各抹消登記手続をせよ。

2  訴訟費用は、被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告本間幸吉(昭和四二年二月一日生まれ)及び同本間豊吉(昭和四三年一一月一六日生まれ)は、いずれも呉場と本間江美子(以下「江美子」という。)の間の子であり、呉場が昭和五三年五月三一日死亡したのに伴い、別紙物件目録(一)ないし(八)記載の不動産(以下「本件不動産」という。)の各一六分の一の持分を相続により取得した。

2  江美子は、昭和六〇年六月一五日、原告両名の親権者として、被告との間において、原告両名が有する本件不動産の持分全部を総額二〇〇〇万円で被告に売り渡す旨の契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し、被告は、右契約に基づき、別紙物件目録(一)記載の土地(以下「本件(一)の土地」という。)について別紙登記目録(一)記載の登記(以下「本件(一)の登記」という。)を、別紙物件目録(二)記載の土地及び同(三)記載の建物(以下「本件(二)、(三)の土地建物」という。)について別紙登記目録(二)記載の登記(以下「本件(二)の登記」という。)を、別紙物件目録(四)及び(五)記載の各建物(以下「本件(四)、(五)の建物」という。)について別紙登記目録(三)記載の登記(以下「本件(三)の登記」という。)を、別紙物件目録(六)記載の建物(以下「本件(六)の建物」という。)について別紙登記目録(四)記載の登記(以下「本件(四)の登記」という。)をそれぞれ経由した。

3(一)  被告代表者の髙本修及び被告の代理人であった細川松之焏(以下「細川」という。)は、本件売買契約締結に際し、原告両名の親権者であった江美子に対し、被告は既に呉場の相続人のうちの呉珠恵らから同人らが相続により取得した本件不動産の持分を買い受けており、未だ売買契約を締結していない者との間にも近々売買契約が成立する予定で、売買契約締結の交渉が整っていないのは原告両名だけであって、原告両名が本件売買契約を締結しなければ原告両名が重大な損害を被るだけでなく他の共同相続人に迷惑がかかると虚偽の事実を申し向け、その旨江美子を誤信させて本件売買契約を締結させた。

また、被告代表者の髙本修及び被告代理人の細川は、本件売買契約締結に際し、本件売買契約の代金についても、江美子に対し、当時の時価よりも著しく低額の二〇〇〇万円という価額を提示して、これが時価相当額であると欺罔し、その旨江美子を誤信させて本件売買契約を締結させた。

(二)  原告両名の親権者であった江美子は、被告に対し、昭和六一年四月二日に被告に送達された本件昭和六一年(ワ)第三一七六号事件の訴状により、本件売買契約における売渡しの意思表示を取り消す旨の意思表示をした。

4  よって、原告両名は、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき、本件(一)の土地について本件(一)の登記の、本件(二)、(三)の土地建物について本件(二)の登記の、本件(四)、(五)の建物について本件(三)の登記の、本件(六)の建物について本件(四)の登記の各抹消登記手続を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1及び2の各事実は、認める。

2  同3(一)のうち、髙本修が被告の代表者であり、細川が被告の代理人であったことは認め、その余の事実は否認する。本件売買契約の代金額が不当に低額であるとの主張は争う。

第三  証拠関係(省略)

(別紙)

物件目録

(一) 東京都板橋区常盤台二丁目八番二

宅地    五四一・四八平方メートル

(二) 東京都板橋区大山東町一三番二

宅地    一一五五・八三平方メートル

(三) 東京都板橋区大山東町一三番地二所在

家屋番号  一三番

木造瓦葺二階建居宅

床面積   一階 九八・三四平方メートル

二階 九四・二一平方メートル

附属建物1

木造瓦葺平家建工場

床面積   一四八・七六平方メートル

附属建物2

木造瓦葺平家建工場

床面積   一四八・七六平方メートル

(四) 東京都豊島区西池袋五丁目一五四二番地所在

家屋番号  七八番二

木造瓦葺平家建居宅

床面積   五七・八五平方メートル

(五) 同所同番地二所在

家屋番号  一五四二番二の一

木造瓦葺平家建居宅

床面積   三一・八〇平方メートル

(六) 東京都杉並区清水一丁目二二六番地九所在

家屋番号  一一四〇番八〇

木造瓦スレート葺二階建居宅

床面積   一階 一五六・一九平方メートル

二階  四九・五八平方メートル

二階  二九・七五平方メートル

附属建物

木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建物置

床面積   九・九一平方メートル

(七) 東京都板橋区徳丸三丁目一四七番六

宅地    一九九八〇・六六平方メートル

(八) 東京都板橋区徳丸三丁目一四七番地六所在

木造平家建居宅

床面積   四六・六七平方メートル(未登記)

登記目録

(一) 東京法務局板橋出張所昭和六〇年一二月二〇日受付第四九一九〇号

本間幸吉・本間豊吉持分全部移転登記

(二) 同法務局同出張所昭和六一年二月一〇日受付第四六六七号

本間幸吉・本間豊持分全部移転登記

(三) 同法務局豊島出張所同月二一日受付第四一六五号

本間幸吉・本間豊吉持分全部移転登記

(四) 同法務局杉並出張所同月二四日受付第七一四三号

本間幸吉・本間豊吉持分全部移転登記

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